カリフォルニアには色々な会社がある。その中で驚くのは世界最大の会社があることだ。
わずか1976年に設立された Apple Inc.で発行済株式の時価総額が$700Billion(約84兆円)と会社の価値として世界最大だ。
そしてこの金額は約100兆円の日本の1年間の国家予算に近い額だ。
しかし今回の話は一番古い会社の話である。
その会社の名前は Ducommun Inc. だ。設立は1849年とカリフォルニアがアメリカ合州國に編入される1年前の
Mexicoの領土の時だった。日本では江戸時代の天保〜安政の幕末の時だったのだ。
この会社の創始者であるMR.Charles Ducommun は1840年代にアーカンソー州から財産すべてをロバに運ばせて
90日もかけてインディアンやメキシカンの盗賊と戦いながらやっとカリフォルニアに辿り着いた。
麻疹や他の疫病、そして無法者が出入りしていた中部の街に見切りをつけたそうだ。
憧れの新天地カリフォルニアにたどり着いたがその時のロス地域全部の人口はたったの1,200人というから驚く。
そしてこの時にカリフォルニアで金が見つかりGold Rush の時代に入った。1848年のサンフランシスコは
わずか200人ほどの寂れた漁師の港町だったが翌年には金を求めて3万6千人もの人口に膨れ上がった。
1年間で人口が100倍以上増えたので治安は乱れ、無法地帯と女郎部屋の街になった。
Ducommun Inc.は早速皆が欲しがる金鉱脈を掘る道具や砂金を川で洗うすくい網などを製造、販売してサンフランシスコに送り届けた。
その時代にはサンフランシスコには工業などなかったのだ。
皮肉なのは金を探し当てるのではなくその道具を作り販売したことだ。金は見つかるかどうかわからないが誰でも道具を揃えないと
話にならない。そしてこの道具は皆買うので確実に儲かるのだ。
166年後の今日もこの会社は元気だ!本社はTorranceのちかくのCarson市にあり3,200人もの人が働いている今でも大きなビジネスだ。
もともとGoldRushの金属加工の商売で立ち上げたこの最古の会社は今では航空機の金属、ミサイルの誘導部品そして
NASAのSpace Stationの部品を作っている。
カリフォルニアの最古の会社はこうして今でも数千人の従業員を抱え、Gold Rush の時代から頑張り続けているのである。