ロスの下町ロケット! / by Toshi Chino

ロサンゼルス国際空港の隣にあるInglewoodという街に約20人のハイテックStaffがいる生まれて間もない会社がある。名前はRelativity Spaceといい宇宙向けのロケットの製造メーカーと同時に打ち上げ屋だ。
2015年の暮れに2人のロスにあるUSCの卒業生(宇宙気狂い)が設立し、Venture Capitalistからまず50万ドル引き出し、わずか2年の間に合計$45Millionひっぱり出させた。
この会社の特徴は隣町Hawthorne 市にある有名なSPACE X の打ち上げる大型ロケットより小さい、しかし近くのHuntington Beach 市にあるROCKET LAB 社が打ち上げる500ポンド(約250キロ)以上の重量の人工衛星の打ち上げにターゲットを絞っている。
トーランス周辺はSpace X のおかげでロケット打ち上げ屋があと13社ぐらいあると言う。しかしこれらの宇宙に夢を見る連中の第一歩はVenture Capitalからお金を引きずり出すか?だ。これに失敗するとそれで夢は終わる。
Relativity Space の自社開発したロボットアーム付きの巨大3D Printerはロケットの90%以上をこれで速く作り上げることだ。
3D Printerは10年ぐらい前にロス周辺の会社が開発し、それで硬化プラスチックの拳銃を作成し、実弾が発射できたことで世界中の二ユースになり有名になった。しかしそれはおもちゃの域を出ない小さい箱型で東京でもヤマダ電機やヨドバシ電気でも売り出したほどだ。
しかしこれは本当の高熱した金属を糸のように吐き出して物を作る本格的工業用の3DPrinterだ。
通常のロケット生産はデザインから品物の完成までで1年から1年半かかる。それを巨大3DPrinterではたった2ヶ月でデザインから完成迄、さらにフライトテストも終えることが出来るという。これが産業用3D Printer の特典だ。
なぜ製品の完成時期とかコストにこだわるのか?
打ち上げビジネスは激烈な競争で生き残りを賭ける。まず確実に打ち上げて、しかもコストが安くなくてはならない。

現在の打ち上げ相場は;
1。小さい人工衛星の打ち上げーーー打ち上げる衛星自体は別のところで製作してここに持ってくるーーー$6Millionから。(Rocket Lab のロケット製造&打ちあげ販売価格)ーーーLow Orbit で最低10年ぐらい地球を回るタイプ。
2。Relativity Space の価格; 約$10Million. ーーーデザインと打ち上げロケット及び打ち上げコストの販売価格)(割合大型の人工衛星だがLow Orbitで最低10年は回るタイプ)
3。Space X の大型打ち上げ$62Millionの販売価格ーーー(Falcon 9 Rocket 使用のHigh Orbitの軍事衛星タイプと月や火星などに行く地球の引力を振り切って外に飛び出すタイプ)

コスト削減はトーランスの隣町にあるSpace Xでも至上命令だ。最近打ち上げた大型ロケットをまた元の発射台に垂直に戻る技術を完成した。当然超高熱の大気から戻ってきたのでその部分を補修しないといけないが、新しいロケットを製作するよりこの中古を使う方が安くしかも補修は3ヶ月もあればOKという。
さらにロスの海辺で戦前に約2千人の日系人が住んで漁業を営んだ海辺のターミナルアイランド地区を買収してここをロケット発射台にする計画を発表した。いよいよロスからロケットが飛び立つ日が来るのだ。
現在はロスで大型ロケットを作り、それを船でパナマ運河経由でフロリダにあるKennedy Space Centerまで運んでいる。当然長い輸送中の異常などをチェックしたりして時間とコストがかかる。

今晩も空を見ると無数の星が美しく輝いている!
しかし宇宙はそんな甘い幻想とはかけ離れた、サバイバルをかけての民間打ち上げ屋のビジネスの戦場だ!
https://www.relativityspace.com
Mike Yamamoto